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羽鳥建築設計室業務日誌

建築家というしごと27

建築家という呼ばれ方は

明治期以降わが国に入ってきた呼称

であると前に書きましたが

個人を際立たせるという考え方は

江戸期以前のわが国にはあまり見受けられません

千利休の茶室や小堀遠州、夢窓疎石の日本庭園のほか

個人の業績として現代にまで伝わった話は

見受けられません

法隆寺、桂離宮ほか多くの寺院仏閣など

棟梁の名前など歴史の教科書にも出てきません

現存する地方の古民家など

当時にしてみれば

相当なお金を掛けてつくられたものも

作者不明であることは言うまでもありません

浮世絵の東洲斎写楽も

個人名では無いという説もあります

浮世絵は 絵師 彫師 摺師と

高度に分業化されていて

一つのプロジェクトチームを編成させて

創られていたという話を聞きました

建築という物つくりの考え方も

江戸期以前ではこの様な考え方で

進められていたのかも知れません。 

 

 

建築家というしごと26

わが国も少子高齢化の時代の流れで

使われていない住宅が全国で800万戸も

あるそうです

1世帯3人とみても2400万人分の住宅が

余剰に供給されている状況なのです

国としては労働に必要な

外国人や海外観光客を国内に引き込み

余っている住宅の有効利用を図ろうと

しているみたいで

まず第一に経済活動に貢献できるかが

優先事項のようです

結婚して子供をもうけこれからの家庭をどの様にしてゆくのか

そう考えている方々の優先したい事項とは

大きなずれを感じます

資金的にある程度余裕のある家庭では

新しいすまいをお考えのようですが

中古の住宅をリフォームではなく

リファイン(大きくプラン内容を作り変える)として

住宅を取得されるのも選択肢として

お考え頂くのもいいのではないのかとも思います

設計内容にもよりますが

新築よりは概ね予算が掛からず

いい立地を取得できる可能性も新築よりあります。 

 

建築家というしごと25

建築という仕事ほどお金儲けに向かない商売はありません

でも、創作性という点では全く反対です

学生時代設計の課題は私にとってとても幸福な時間でもありました

線を引く事から形を作ってゆく事そのプロセスが

楽しくて仕方ありませんでした

当時は有名になってお金を沢山頂いて

悠々自適な生活をおくって・・・などなど

中には そこらへんしっかり計算して人生設計する人もいましたが

私の場合恐ろしいほど無欲の精神状態でおりました

でも、社会に出されて 小さいながらも

一国一城の主として事務所を経営しなければならない立場に立たされますと

そういう綺麗ごとが通用しない非常に厳しい現実に立たされます

生活の為ですから当たり前の事なのでしょうが

いま問題にして要る事が

この創作性(芸術性)と現実とのバランスをどうとってゆくのか?

 

100棟以上販売実績のある 大手ハウスメーカーの営業マンで

学生時代の友人がいるのですが

営業成績やお金に焦点を置きすぎると仕事が楽しく無くなると

言っていたのがとても印象的でした。

 


 

建築家というしごと24

日本では建物を設計してもいいという許可が出されている資格に

「建築士」という資格がありますが

木造建築士 2級建築士 1級建築士の三段階に分かれていまして

海外でよく言われる 建築家 という職能は存在していません

建築士によるその違いは概ね手掛ける建物の規模によって

守備範囲が限定されており

それを支える主に技術的な基準が問われる資格と言ってもいいでしょう

国内で最高資格の1級建築士を持っていても

海外で建築家として認められるとは限りません

建築士になるための教育機関は日本では

理数系学科の大学を出る必要がありますが

海外での建築家の称号を得るためには

理数系の学問の他に文科系の要素も必要になって来ます

国内で頑張っていらっしゃる建築家の先生がたは

この不足分をみな独学で学んだ方たちで

そもそも建築学という学問自体

明治維新から150年ほどの歴史しかありません。

 

 

これからのすまいのかたち5

最近完成した住宅の作品集を

眺めて少しづつ研鑽をつんでいる状況です

これまで私が手掛けてきた住宅と比べて

雑誌に掲載されている作品の多くは

設計期間に十分過ぎるほどの時間を掛けて

創り込んでいるようです

これまでは 基本設計に半月から一か月

実施設計に一か月から2か月が

当事務所での標準でした

すごくいいという印象を持った作品の中には

7か月設計期間を取っていた物件もありました

大手ハウスメーカでは

2週間ほどで一棟をまとめているとのことですが

2週間従業員を稼働させて

一か月分の給料40万円の半分20万円のほか

会社の経費分を計上しますから

一棟当たり設計料80~100万は

最低でも掛かるはずです

7か月だと 一か月仮に35万としても

245万の設計経費が掛かります

そのほかに工事監理も含めると

300万以上見ないととても対応できないかも知れません

基本 良いものを作りこむ為には

どうしても時間と手間が必要になって来ます。

 

 


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