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羽鳥建築設計室業務日誌



建築家というしごと24


日本では建物を設計してもいいという許可が出されている資格に

「建築士」という資格がありますが

木造建築士 2級建築士 1級建築士の三段階に分かれていまして

海外でよく言われる 建築家 という職能は存在していません

建築士によるその違いは概ね手掛ける建物の規模によって

守備範囲が限定されており

それを支える主に技術的な基準が問われる資格と言ってもいいでしょう

国内で最高資格の1級建築士を持っていても

海外で建築家として認められるとは限りません

建築士になるための教育機関は日本では

理数系学科の大学を出る必要がありますが

海外での建築家の称号を得るためには

理数系の学問の他に文科系の要素も必要になって来ます

国内で頑張っていらっしゃる建築家の先生がたは

この不足分をみな独学で学んだ方たちで

そもそも建築学という学問自体

明治維新から150年ほどの歴史しかありません。

 

 

これからのすまいのかたち5


最近完成した住宅の作品集を

眺めて少しづつ研鑽をつんでいる状況です

これまで私が手掛けてきた住宅と比べて

雑誌に掲載されている作品の多くは

設計期間に十分過ぎるほどの時間を掛けて

創り込んでいるようです

これまでは 基本設計に半月から一か月

実施設計に一か月から2か月が

当事務所での標準でした

すごくいいという印象を持った作品の中には

7か月設計期間を取っていた物件もありました

大手ハウスメーカでは

2週間ほどで一棟をまとめているとのことですが

2週間従業員を稼働させて

一か月分の給料40万円の半分20万円のほか

会社の経費分を計上しますから

一棟当たり設計料80~100万は

最低でも掛かるはずです

7か月だと 一か月仮に35万としても

245万の設計経費が掛かります

そのほかに工事監理も含めると

300万以上見ないととても対応できないかも知れません

基本 良いものを作りこむ為には

どうしても時間と手間が必要になって来ます。

 

 

これからの住まいのかたち4


かなりの人が海外での暮らしを経験され

異国の地での魅力ある要素を

自分たちなりに反映させてゆく方向性だと思います

マスコミで大々的にイメージを打ち出して

みんながそれに向かってまっしぐらという

時代では無くなってきています

また、新しいものがいいという価値観も

かなり限定的なものになっています

ものが時間と共に朽ち果てて行く

それが自然なものであれば それもまたいい

そんな考え方からわざと古い材料を

建材として使った設計も見られます

ヨーロッパのある保養地では

住宅の再生でわざと新しさを出さないで

昔ながらの落ち着いた雰囲気を醸し出す

設計手法もあるようです

それが伝統でありブランドになって行くんでしょうね。 

 

 

これからのすまいのかたち3


住宅を建てる際、複数の建築業者で価格を競争させ

住まい手により有利な条件で建設する

という方式を主体とする組織に数年前まで

加入しておりました。

確かにその方式を導入すれば

大手ハウスメーカーの仕様以上の建物を

より安く完成引き渡しができることが

よく理解できましたが

そのシステムの前提としている考え方は

建設業者は 悪 であるという

性悪説に基づいており

設計事務所は 善 で正義も味方という

善悪を対立させた非常に分かりやすい図式で

施主たちから絶大な支持をえてきました。

でも 何棟も手掛けてきて分かってきたことは

施工業者さんたちにも自分たちの職に対して

誇り(プライド)をもっていますし

家族とその生活を守って行かなければならない

切実な事情もそれぞれに抱えているという事実があります。

いま一番理想的なのは

施主ー施工業者ー設計者が

それぞれにWIN-WINのかたちに持ってゆくことで

三者いったいとなってプロジェクトに取り組む形になれば

自ずといい建物が出来上がるはずだと確信しています。 

 

これからのすまいのかたち2


しっかりとした考えと強いこだわりを持った方たち

のすまいを紹介している雑誌を今研究しています

圧倒的なコマーシャルのイメージに流されて

すまいという人生の一大イベントを

建築会社に丸投げしてしまっている

そんな方たちが すまいを作ろうとしているかたの総数の

半分以上はいらっしゃるようです

一昔前でしたら建築家という選択肢があり

数的にはごく少数の施主さんがその道を選ばれていましたが

地場の小さな工務店が(特に都市部)いい仕事をしています

ドアの取っ手やひとつひとつ扉のデザインをかえるなど

その人 その施主さんならではの

たった一つのかたちを具体化させてゆくために

打ち合わせを重ねて丁寧に作りこんでゆきます

当然手間と時間がかかりますので

1年で何十棟も手がけることは不可能なはずです。 

 


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