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けんちくと街
羽鳥建築設計室まい・たびっくす

土建国家にっぽんの現状

仙台の駅前には車と歩行者を完全に分離した
ペデストリアンデッキという歩道橋のようなものがありますが
出来てから30年近くなるんでしょうか
完成当初は近代的で都会的な雰囲気を醸し出してましたが
現在は歩道や階段に使われてる磁器製のタイルが所々欠けて
とても貧乏くさいんです 同じ製品で綺麗に補修してやればいいのに
ある所は別のタイルだったりまたある所はモルタルだったり
ちぐはぐなんですね これはたぶん30年前の製品が
製造中止になり部材が調達できなくなったためだと思うのですが
役所もメーカーも無責任なためにこういうことがおこるのだとおもいます
20年30年たてばひびが入ったり 欠落したりすることは
十分にありうることでリスクに対するマネジメントの欠如と言ってもいいですね
家電製品や車にも同様のことがいえるんだと思いますが
これではいつまでたっても豊かな暮らしなんて望めないかもしれませんね。
 

こらぼれーしょん 弐

スペインの天才建築家 アントニオガウディーには優れた弟子たちがいました
その一人に ジョセップジョジョールという人がいて
主にガウディーの作品の 装飾的部分を担当していました
例えばアパートメントのカサミラやカサバトリョの曲がりぬ練ったバルコニーや
アールヌーボー調の鉄細工加工のデザインとか
グエル公園のモザイクタイルの装飾など
ガウディーデザインの主だった所を担ってました
天才だからといってなんでも自分だけで片付けてしまうという考えは
ちがうんですね 
優れた建築家というのは 私見ですが個人としての才能があることは
必要条件ですが、ツワモノどもをまとめる力 コミュニケーション能力
なんかがないと 偉大な作品を生み出すことが出来ないのだと思います
それって 人間性とか広い意味での人間力なのかもしれませんね。
 

もだにずむIV

最近 シャープで繊細でかっこいい建物をよく
見かけるようになりました
ブティック や ブランドショップばかりでなく
一般住宅にもおしゃれなデザインの建物をみかけます
モダニズムの復活といってもいいでしょう
ただ 本当にモダニズムを理解しモダニズムのいい所を
踏まえて設計している建物はごく一部です
モダニズムの特徴である 早く 安く より合理的な部分だけを
拝借して 美しさとか優しさといったメンタルな部分を
なおざりにしてる業者さんが多いように見受けられます
モダニズムの祖の一人 ミース ファンデルローエがアメリカ シカゴに
建てた レイクショアドライブアパートメント(マンション)は
真四角のだだの箱ですが 細く見える柱に わざわざ細工を施して
建物に優雅さを与えています
この頃の建築家たちは モダニズムのいい面と悪い面をよく
わきまえていたんでしょうね
ただ 儲ければいいという姿勢では本当はないんです
 

もだにずむIII

1960年代ごろから 近代建築(モダニズム)への反省をふまえて
ポストモダニズム という流れが起こり始めました
一切の装飾を廃し 合理的でシンプルなデザインだったものが
人間性を取り戻し遊び心を加え そのモチーフを
クラシックな建築から取り入れてなんだか賑やかな様相を
呈しはじめました。
東京都庁舎なんかはその典型です
ポストモダニズムの流れは30年間つづきました
でも 社会に与えるインパクトがあったかどうかは疑問にのこります

つづく
 

もだにずむII

911テロで もろくも崩れ去ったNYのツインタワー
WTC(ワールドトレードセンター)は
日系アメリカ人 ミノルヤマザキ が設計したものでした
モダニズムを象徴するようなデザインの建物ですが
彼は他にも 大規模な住宅団地を手がけました
その団地は 全建物に 均等に日光があたり
各部屋が同じ間取りで 見た目にも清潔感あふれる
設計でした しかし 十年近く経ち 
その団地での住まわれ方は 見る見る豹変し
犯罪と貧困が多発し とても住める状態ではなくなりました
そして 取り壊しがきめられ 当初の目論見は
失敗に終わったのです
早く 経済的で 機能的 合理的な設計だけでは
社会を正常なかたちに持ってゆくことが
いかに難しいかを 証明したかたちとなったわけです

つづく
 


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