学生のころ注目していた建築家で
世田谷美術館の設計で有名になった
故内井正蔵さんがいらっしゃいましたが
この方の書籍「健康な建築」の中で
コンクリート打ちっぱなしのモダンな建築空間は
エネルギーのある若い方には
刺激的で心地いいが
歳を取ってくると非常に退屈で疲れる
クラシック建築の持つ優しさと豊かさこそ
人間が生活を送るのに相応しい
と言っていたことを思い出します
モダン建築の巨匠コルビジェと並ぶ100年前の建築家
ミースファンデルローエのバルセロナパビリオンなど
今見てもこれ以上カッコいい建築はないと言えるデザインですが
現代のデザインは建築でも自動車でも
「カッコいい」「スマート」な物が氾濫しているように思えます
こんな考え方も出来るのではないでしょうか?
ヒマラヤやアルプスの山々は
急峻で荒々しく非日常的で美しい反面
そんな環境で日常を送ることなど
到底出来るものでは有りません
私たちが日常を送るべき環境は
平坦で穏やかな平らな場所なんですね
そんな事を考えると
建築や都市空間も非日常的な
カッコいいものばかりに囲まれすぎると
人間の身体感覚から大きくかけ離れたものに
なって行くのかも知れません。